あめアメふれフレ

小雨だった空

放課後にはどしゃぶりになっていた

白く霞んだ空にひとつため息をついて
帰ったら何を飲もうなんて他愛もない事を考える。



しばらく歩いていると数歩先に可愛らしい赤いチェックの傘が見えた

今まで霞んでいたのにその周りだけバラ色のように見えたんだ


雨の日だけ会える女の子


きっといつもは電車か何かで移動しているんだろう

だけど今日みたいな雨の日は俺と同じ道をたどって家に帰るらしい



話した事もない

顔すら傘に隠れてあまり見た事がない


それでも俺は彼女に惹かれて。




大きめの傘は彼女を優しく包み込んで
空から降ってくる神様の涙を地面に静かに吸い込ませる


そんな風景をただ見ているだけの俺。


でもそれだけで満足で

あわよくば近づきたいなんて…少ししか思ってない



すると


不意に風が吹いた


何て事もない風


でも彼女の傘はふわりと


まるで俺に向かうように

大きく弧を描いて飛んできた




今まで隠れていた顔が


目が



まっすぐこちらを見据えて。





そして雨粒のように透き通る声で





「いつも…私のこと見ていてくれるね」







今日は快晴だ。