信号機-朱-

あいつはいつも赤信号を渡った


つんざくようなクラクションの音はあいつにとってはただのオーケストラでしかなくて



身体をかすめる車にわざとらしく驚いて、
大げさに笑い転げて、
くるくると舞い踊って、


俺が騒音に顔を歪めるたびにあいつは笑顔で顔を歪ませた




そして最後にこちらを向いていうんだ







「平和ボケした化物は大嫌いだよ」